prologue




 最初はただの憧れだと思っていた。

 オレの知らない世界を見せてくれたあなたを、もっと知りたい……という、単純な欲求。それだけ。

 でも。

 あなたと言葉を交わすだけで、妙に気持ちが高揚して。

 あなたの笑顔を見るだけで、たまらなく切なくなる。

 言葉なんかじゃ説明できないこの気持ち。

 気がつけばいつもあなたを目で追っていた。


 あなたが好きです、誰よりも。


 たとえあなたがオレじゃなく――オレの兄貴を見ていたとしても。